コンサルティングファームで内部監査関連のアドバイザリー業務を行っている皆川による、CIAこと公認内部監査人取得をお勧めする人、メリット・勉強方法等について、実際の受験経験を元に紹介します。




・CIAの受験記録とCISAに関しては次にまとめています。


CIAこと公認内部監査人とは


まずは、CIAを受験するに当たって、そもそもCIAとは何なのでしょうか。


アメリカの内部監査協会であるIIAが内部監査人としての資格を認定するグローバル資格です。内部監査人の資格っていったらIIAのCIAであり、内部監査の唯一無二の資格です。

https://www.iiajapan.com/leg/certifications/CIA/


先進国の大企業の多くの会社の内部統制は、このIIAのフレームワークに沿っているので、この資格の中身さえ理解すれば、だいたいの会社の内部監査部門で活躍できます。

ちなみに、監査法人の内部監査アドバイザリーチームは昇格に必須資格なのでほぼ全員持っています。また、事業会社の内部監査部門でも持っている人が多い資格でもあります。

資格の有用性(取得をお勧めする人、メリット)


CIA取得がお勧めな人


現在、監査、コンプラ、経理等の管理部門で働いている方で、大企業またはコンサルへの転職を希望している人には取得メリットが大きいためお勧めします。


CIAは、基本的には、現職で内部監査系の仕事をしている方が取得する資格です。
ただ、CIAと親和性の高いコンプラや経理等で働いてる人が、現在の業務とCIA武器に転職を希望している場合には取得をお勧めできます。

一方で、CIAと全く親和性のない業務を行っている方には、取得に当たって投資する時間・お金と比較した際に得られるメリットが少ないためお勧めしていません。

CIAを使った転職でのメリット


具体的に転職でどのようなメリットを享受できるか説明します。

  • 大企業の管理部門への転職に有利 
  • コンサルティングファームへの転職に有利

 

まずは、大企業の管理部門への転職においてCIAは評価を得ることができます。
ここでポイントなのが大手外資系か伝統的な日本の超大企業への転職の場合です。
CIAはグローバル資格であり、海外での評価が非常に高いです。また、外資系は資格に対する評価が日本に比べて高い傾向にあり、外資系への転職に有利に働きます。

一方で、日本におけるCIAのプレゼンスは海外に比べて低い傾向があります。そのため、日本の企業の場合は、コンプラ意識の高い伝統的な超大企業でないと評価が得られにくいです。

次に、コンサルティングファームへの転職になぜ有利なのか説明します。
ここで、メリットが得られるのはコンサルティングファームのうち、ガバナンス系のコンサルを行っているファームへの転職を指しています。
特にBig4は会計監査を行っていることもあり、ガバナンス系のコンサルが非常に強いです。
Big4のガバナンス系のコンサルに転職を希望する場合にはCIAは有利になります。

ただ、注意が必要なのが、Big4のガバナンス系のコンサルには会計士の資格保有者も多数いるため競争相手は非常に強力です。

この後説明する、CIAの取得にかかる時間とお金を勘案して取得に挑戦するか検討されることをお勧めします。


ちなみにCIAの概要はIIAのHP等見ても理解が難しいケースも多いです。
手っ取り早く理解するなら予備校から資料請求するのが早いです。

次のAbitusはUSCPAで有名な予備校(私も大変お世話になりました。)ですがCIAもやっておりますので、気になる方は資料請求してみてもよいと思います。

CIA/公認内部監査人資格 アビタス

試験概要


続いて試験概要です。


試験科目


Part1からPart3までの3科目となっております。

各Partの範囲は次のとおりです。

  • Part1:内部監査に不可欠な要素(125問 2時間30分)
  • Part2:内部監査の実務 (100問 2時間)
  • Part3:内部監査のためのビジネス知識(100問 2時間)

Part1は、IIAの規定等の理解を問う基礎的な問題となっております。
Part2は、Part1の知識を前提とした、応用問題やケーススタディとなっております。Part1の発展形でもあり、難易度もPart1より難しいとされています。
Part3は、内部監査を絡めた、ビジネス戦略やIT、財務等幅広い範囲の出題となっておりまビジネスの一般教養です。Part3はPart1、2とは毛色が異なっていること、IT系の問題が多数でることから好き嫌いが分かれます。

受験手続き


手続には、パスポート、卒業証明書の提出、上司等の推薦等多くの手順が必要で、手続から受験まで最速1か月はかかります。

受験料


会員の場合、1科目25000円からです。。なお、IIAの会員にならない場合は38000円からです。

さらに、別途登録料等など、、、
ストレート合格しても、受験費用だけで最低10万円はかかります。

アメリカの資格は、日本の資格と比べて資格費用がべらぼうに高いです。

日本なら1万円切るものがほとんどなのに。

次の表は、公式HPから持ってきた必要な料金一覧となります。



https://www.iiajapan.com/leg/certifications/CIA/

合格要件


3科目あり、受験は科目ごとに順不同で自分の好きなタイミングで受験可能です。

一方で、最初の試験登録完了日から3 年以内に全科目合格しないと合格科目の取り消しにより再受験が必要となります。(有料で有効期限延長制度有)


合格難易度・必要な勉強時間


合格率は、非公開となっています。

ただ、私がUSCPAで大変お世話になった某予備校、某講師は、科目ごとの合格率が30%〜40%ぐらいで、全科目の合格率は10%〜15%ぐらいじゃないかって仰っておりました。

勉強時間は、某予備校によれば400時間程度とのことです。

次の表は、CIAと関連資格について、必要な勉強時間をまとめたものです。


USCPAが約1500時間と言われていますから、その3分の1程度です。
簿記1級よりかは簡単だけど、簿記2級よりかは難しいようです。

CIAは3科目ありますので、1科目150時間弱。
1日1.5時間勉強するとして、1科目約3.3ヶ月の勉強、3科目で約10ヶ月ぐらい必要でしょうか。

ただ、出題問題は、平凡で難しい問題はありません。
つまり、量は多いけど問題は難しくないよってことです。

勉強方法


まず、予備校を利用する必要があるのか、独学でもいけるのかです。
予備校の利用について説明した後に、独学の勉強法について説明します。

事前知識がない人は予備校の利用が原則


  • マイナー試験のため市販の教材が揃っていない
  • 問題が独特
  • 試験範囲が広く浅いため、勉強範囲の強弱の付け方が難しい

内部監査に関する事前知識が乏しい人は、原則は予備校の利用が前提の資格となります。

CIAは、マイナー試験のため、市販の教材が揃っておらず、独学で勉強するさいの参考書が限られています。
さらに、アメリカの資格だけあって問題が独特で日本人にはやりにく試験となっています。
CISAやUSCPAのAuditも同じなのですが、海外の試験問題は、日本の試験のように唯一の解答がなく、選択肢の中でより最もらしい選択肢を選ぶことが必要な場合も多いです。
さらに、正解となる回答も、解説を読んでも納得できないことも少なくないです。 このため、相性が悪い人はなかなか受からない試験でもあります。

そして、CIAは試験範囲が広く浅いです。内部監査の問題からビジネス論、財務、ITと広範囲に及びます。
しかし、全範囲からまんべんなく問題が出題されるわけではなく、出題率が高い箇所、低い箇所と濃淡があるため、予備校でそういった情報を得ることで効率的な勉強が可能となります。

一方で、内部監査の事前知識が一定程度ある方は市販の参考書で大丈夫です。
CIAは特別難しい問題がでるわけではなく、問題自体の難易度はやさしいからです。

では、事前知識がない人は、独学では絶対に無理かというとそういうわけではないです。
私は、CIAと似た資格であるCISAというシステム監査の資格に関しては、前提となる知識が0の状態でしたが、独学で試験に合格しております。

皆川のお勧め予備校はAbitusです。

私がUSCPAでお世話なったAbitusの鈴木講師はCIAもご担当されているので、
Abitusは自信を持ってお勧めできます。

CIA/公認内部監査人資格 アビタス

TACは最近CIAと同分野のUSCPAに力を入れ始めております。
予備校を検討している方はAbitusとTACを比較されるのがお勧めです。

独学でのお勧めの勉強法


独学の場合の一般的なお勧め勉強法を紹介します。
なお、皆川の実際の勉強方法・記録は後段で説明します。

CIAの勉強に必要なものは、テキストと問題集です。
これは、下で説明する公式テキスト等の入手が必要です。

皆川のお勧め勉強法はとにかく問題集を回すです。
テキストは問題集を解いてわからない場合に参考にする程度でOKだと考えています。

予備校の講義が必要かどうかですが、個人的にはどっちでも良い派です。

なぜなら、問題自体の難易度が高くないのでテキストを読めば理解できるためです。
だからこそ、問題集から勉強を始めても問題ないのです。

ちなみに、CIAは癖の強い問題が多く問題集の解説だけだと、いまいち納得感のない問題もございます。
ですが、こういった問題については、講義を聞いても納得感を得られないことが多いのです。

CIAは、わからない問題に関しては割り切りが必要だと思います。

ちなみに、皆川はCIAは事前知識ありで受験しているのですが、CISAを取得した際は、ITも監査の知識も完全0でした。

それでも、CISAに関しては、テキストすら使わずに問題集のみで合格を手にしています。

だから、CIAも予備校は不要派なのです。

問題集をひらすら解いて、問題集に書いてある知識はすべて覚えるのです。
CISAの際は、問題集を10周以上しました。
CIAの際は、事前知識があったこともあり、数周しかしていません。


それでも実際の試験ではわからない問題だらけです。

予備校に通っていたとしてもそれは一緒です。
出題範囲が広いため、予備校に通っても網羅的な知識獲得は難しいのです。

予備校にいこうが、いかまいが、実際の試験では知らない問題がほとんど!!


独学用のお勧めテキストと問題集
・公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキスト

・CIA試験模擬問題集2019
※2019年度版が最新となっています。


参考)
専門職的実施の国際フレームワーク
※CIAの基準となります。個人的には基準がなくとも参考書と問題集があれば問題ないと考えるため不要です。
※2017年度版が最新となっています。


皆川の場合


私、皆川の実際の勉強記録について紹介します。


勉強時間・記録

Total:139日間、108.04h
  • PART1 :38日間、  21.3h
  • PART2 :110日間、40.18h
  • PART3 :97日間、  46.09H

・1日目~
 PART3の勉強開始(問題集)
10日目~
 PART1:勉強開始(問題集)
 PART3:問題集1周以上完了、2週目以降に突入
20日目~
 PART1:問題集1周以上完了、2週目以降に突入
30日目~
 PART1:テキスト読み始める、一問一答問題の作成
     試験予約
 PART2:勉強開始(問題集)
39日目~
 PART2:問題集1周以上完了、2週目以降に突入
48日目~
 PART1:受験(合格)
 PART2:テキスト読み始める、一問一答問題の作成
     試験予約
62日目~
 PART2:受験(不合格)
 PART3:テキスト読み始める、一問一答問題の作成
     試験予約
97日目~
 PART3:受験(合格)
 PART2:記憶維持のため一日10分程度の勉強
139日目
 PART2:受験(合格)

特に理由はないのですが、PART3から勉強を始めました。
会社に置いてあった問題集を使い勉強を開始しました。

基本的に問題集のみで勉強を始め、テキストは試験前に読んで、
自分の知らないものがあったら一問一答形式にまとめていきました。

PART3は問題集の量が他の2倍あったことと、範囲が広すぎて受かる自信がなかったため、先にPART1、2から受験しました。

受かる自信が出ず、だらだらと勉強をしていたために勉強時間が無駄に長くなってしまいました。

PART2は残念ながら1回落ちてしまいました、、、

再受験に当たっては、特別な勉強はせずに前の勉強の記憶が抜け落ちない程度に毎日少しづつ勉強していました。

再受験に当たりインターバルが60日必要だったので、勉強時間も長くなってしまいました。

私の場合、現職でセキュリティ監査系のアドバイザリー業務をやっていること、CISAを持っていること、USCPAの勉強をしていたことがあったため、事前知識がばっちりでした。

そのため、問題集を初めて解いた時点で正解率がすでに7割を超えていただんですよね。

そういったこともあり、私は他の受験生に比べて少ない勉強時間で済んでいるかと思います。

以上となります。

関連ブログリンク


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・YouTube(CIAの概要、受験勉強等)